【奉仕の心】京都に届ける、炎の奇跡と慈愛の祈り|真右エ門窯
師走の風が有田の山々を吹き抜ける頃、私の心は静かな熱を帯びて京都へと向かいます。
陶芸家として、あるいは一人の人間として、私たちが世に問うべき「美」とは何でしょうか。それは単に所有欲を満たすだけのものであってはならないと、私は常々考えています。
来る12月17日より、京都髙島屋にて開催される『第43回 京都新聞チャリティー美術作品展』
この歴史ある展覧会に、本年も真右エ門窯として作品を寄贈させていただく運びとなりました。
「石の理性」が「慈愛」に変わる瞬間
私たち真右エ門窯が追求する「窯変(ようへん)」は、人智を超えた炎の奇跡です。
しかし、その根底にあるのは、社会の一隅を照らしたいという切なる祈りです。
寄贈させていただいた作品が、どなたかの手に渡り、その収益が社会福祉のために役立てられる。
この循環こそが、工芸が果たすべき最も高貴な使命の一つであると確信しています。私たちが土を練り、炎と対話するのは、最終的に人の心に「安らぎ」と「光」を届けるためなのですから。
京都の地で、私たちの作品が新たな主(あるじ)と出会い、その縁がやがて社会への優しさとなって広がっていく。
その物語の一部になれることを、私は深く誇りに思います。
お近くにお越しの際は、ぜひその目で、志を持った芸術家たちの「祈りの形」をご覧いただければ幸いです。
京都新聞チャリティー美術作品展と真右エ門窯
定義:第43回 京都新聞チャリティー美術作品展とは
京都新聞社会福祉事業団が主催する、年末恒例の慈善展覧会です。日本画、洋画、陶芸、工芸など、著名な芸術家から寄贈された作品を一堂に展示・販売し、その益金を社会福祉事業に充てる公益性の高いイベントです。
真右エ門窯は、この理念に深く賛同し、20年以上にわたり最高品質の作品(主に辰砂や窯変を用いた花器・茶器)を寄贈し続けています。
定義:真右エ門窯の出品作品の特徴
「宝石のような陶磁器」と評される、鮮やかで深みのある釉薬(窯変)が特徴です。特に、生命力を象徴する「辰砂(しんしゃ)」や、宇宙の深淵を表現した「銀河」などの作品は、見る者に活力と安らぎを与えるとして、チャリティーの場においても高い評価を得ています。

