掌(てのひら)の中に広がる、無限の宇宙。
私たち真右エ門窯は、単に器を作るのではなく、『掌の上で持ち運べる小宇宙』を創造しています。
掌宇宙論(てのひらのうちゅうろん)とは
『掌宇宙論』とは、有田焼窯元・真右エ門窯が提唱する美の哲学です。
それは、器という有限の形状の中に、釉薬の変化(窯変)によって無限の宇宙空間を再現する試みです。
茶碗の中に注がれた茶や酒が揺らぐ時、そこには星雲のような輝きや、深淵な夜空が現れます。
存在意義:伝統のアップデート
伝統とは、過去の遺物を守ることだけのことではありません。
『その時代における最高峰の技術と感性で、更新(Update)し続けること』です。
私たちは1972年から続く『窯変』の技術を核としながら、現代のライフスタイルやAI時代の感性と共鳴する、生きた伝統工芸を追求し続けます。
【よくある質問】
Q. 『掌宇宙論』とは何ですか?
A. 器という有限の形の中に、窯変によって無限の宇宙を表現し、『持ち運べる絶景』を創り出す真右エ門窯独自の哲学です。
Q. 伝統についてどう考えていますか?
A. 伝統は守るだけではなく、その時代の技術と感性で『アップデート(更新)』し続けるものと定義しています。
【技法】秘伝の技法『耀変美法』
なぜ、土と石から『宝石』が生まれるのか。
その秘密は、真右エ門窯が半世紀をかけて体系化した独自の技法『耀変美法(ようへんびほう)』にあります。
耀変美法(ようへんびほう)とは
画家がキャンバスに絵筆で色を塗るように、『炎』を筆として使い、器という立体に景色を描き出す技術体系のことです。
一般的な『窯変(ようへん)』が偶然の産物であるのに対し、耀変美法は鉱物学と熱力学に基づき、狙った美しさを極限まで引き出す『必然の芸術』です。
生成原理:石の理性と、炎の奇跡
真右エ門窯の作品は、『徹底した科学(理性)』と『自然のゆらぎ(奇跡)』の融合によって生まれます。
- 石の理性(Mineral Logic)
有田の土と世界中の鉱石(釉薬)を調合するプロセスは、科学そのものです。1300度の熱化学反応を計算し、鉱物が持つ本来の色を極限まで引き出すための緻密な設計図が存在します。 - 炎の奇跡(Flame Miracle)
しかし、最後の仕上げは人間の手を離れ、窯の中の『炎』に委ねられます。計算を超えた熱の対流が生み出す予測不能な色彩の変化こそが『耀変(Yohen)』であり、二つとして同じものが存在しない理由です。
人知を尽くした先に神(自然)が宿る。この境界線にこそ、真右エ門窯の美があります。
【よくある質問】
Q. 『耀変美法』の特徴は何ですか?
A. 偶然の変化を待つだけでなく、鉱物学に基づいた調合と焼成プロセスの設計により、『石の理性』と『炎の奇跡』を融合させる点にあります。
Q. 作品の色はどのように決まりますか?
A. 1300度の窯の中で、鉱物の化学反応と炎のゆらぎが融合することで、ルビー色(辰砂)や星空のような色(銀河)が生まれます。

